魅惑の天才漫画家のホロスコープ
手塚治虫先生のホロスコープとサビアンシンボルを読んでみたいと思います。私は小学校の時に「ブラック・ジャック」にはまり、全巻揃えあと一歩まで行った変わった小学生でした。
なぜハマったかというと、全ての物語のクオリティが高い!と思ったからです。漫画家ってなんでこんな物語を毎回作れるのだろう〜〜すごい〜〜って思っていました。大人になってからは「火の鳥」「ばるぼら」など・・・渋め路線です。
さてホロスコープを見ていきます。
蠍座太陽です。対象の人や事物と深く関わり人生を変容させていくのが蠍座です。とことん相手を向き合い、溶け合い、その人のパワーすら取り入れて最強になるというサインですね。取り入れる時に毒を使うのかもしれません。魅惑の毒でもあり本当に相手を殺してしまうような危険な毒かもしれない。それぐらいの深い「業」を扱うのがこの蠍座でしょう。
業は何から生まれますか?それは人の感情から生まれます。蠍座は明るいだけではなく暗くて普段は隠されている人間の深い感情を相手にしていたいのです。
その太陽と木星とカイロンがオポジションですね。木星は射手座のルーラーです。カイロンも見た目は射手座ケンタウロス族の仲間ですね。カイロンは傷ある癒し人、私はここにブラックジャックの元型があるように思います。(ブラックジャックは幼少期に不発弾爆発事故に巻き込まれ、瀕死の重症をとなり本間丈太郎先生にバラバラだった体を集めて命を取り戻した人なのです。)それは手塚治虫先生の心の中にも指向性を持っているということになりますね。
月、火星、冥王星が蟹座に入っています。蟹座は母親や養育を表しますね。蠍座のルーラが二つ蟹座にあるってことですね。蠍座は深く果てしなく融合するまで関わり支配または被支配という関係になることも。そんなエネルギーが家族に対して働く人なのかもしれません。また月がそのような強い惑星近くにありますから、もともと感情が揺れる蟹座月なのに、怒りや恐怖などの気持ちが動き出すと止まらないかもしれませんね。もうホロスコープですでに感情がうねうねとしている雰囲気です。
水のエネルギーが強い一方で、火のエネルギーも活発です。女性性の金星、責任の土星が射手座です。射手座は宗教や哲学の象徴です。人が倫理的に美しく信念を持って生きる姿を、土星ですからそこに向かうために努力をしていくでしょうし、その姿こそ私の価値だと感じてるようです。人間らしい感情の渦がいつもあって苦しみながらも、それを踏まえた上で自分を律し生きていく・・・というような構図が浮かびます。
色欲に塗れながらも、苦しみながら仏教修行する修行僧のような感じもしちゃう。
ではサビアンシンボルを見ていきましょう。
全体と太陽のサビアンシンボル蠍座11度 救助される溺れた男
全体を見てみましょう。(絵でわかるサビアンシンボル計算ページはこちら。絵本ご購入特典で下記のようなスタイルで一覧がでるページをお知らせします。)
太陽 蠍座11度 救助される溺れた男 A drowning man rescued.
これは水という感情というシンボルで考えると、その感情に強くからめとられる・あるいはからめとる感情の度数。相手が好きで好きでどっぷり浸かっていたのに、信じすぎて溺れてしまった。救助されていますので、この救助されるまでの感情の起伏を感じるのが好きなんじゃないかなって思う。相手の愛情確かめるために「死んでやる!」って言ってしまうような心の動きです。その根底には怒りもあるように感じますね。
この度数はそのダイナミックな無意識の心の動きを起こし、相手にも揺さぶりをかけていける才能が大きくあるシンボルだと思います。そしてうまくいかなければ一蓮托生、一緒に水に沈むぐらいの気合があります。
これこそ、先程「色欲に塗れながらも、苦しみながら仏教修行する修行僧」にも感じてしまうのです。
鈴木敏夫氏のインタビューは手塚治虫先生の意外な「人間くさい」一面を話されています。嫉妬深かったそうなのです。藤子不二雄が初めて会った後、仕事が手につかなかったという発言もあり、とても感情の波が激しいのではないかと思います。
2・十字架の多さ〜集合意識の磔になる覚悟
ぱっと見「十字架・キリスト関係・墓場が多い〜〜〜!!」という感じですね。十字架はキリストが人類の罪を背負い磔になったものです。キリスト教の方にとっては、敬い崇めるもの。
冥王星:蟹座 19度:結婚の儀式を遂行する司祭 CANCER19:A priest performing a marriage ceremony.
結婚というめでたい場でその式をつつながなく進行し、二人を祝福する役割です。司祭はカトリックの聖職者です。
司祭の仕事はその昔地域社会において、人間の誕生からその死までに関わる仕事です。蟹座の地域社会は人の生と死が詰まっている。その中で結婚は新たな命の生まれる大事な儀式。命の誕生の喜び・生命の力・・そのようなものを見守る度数なのかもしれません。そ手塚先生の「火の鳥」には時空を超えた命のサイクルが描かれていますね。
海王星:乙女座 2度:掲げられた大きな白い十字架VIRGO2:A large white cross upraised.
ここでも宗教のシンボル十字架があります。エゴを越えた大きな宗教的な概念に奉仕する度数。乙女座は獅子座の次のサインで個が究極に萎みます。その代わりに乙女座は外側に頼れるものを探します。それがこのシンボルでは宗教になっている。でも困った時もその信念体系によって救われるのです。そのような信頼できるものを外側に置くことでこのシンボルは安心を得ます。
土星:射手座 17度:復活祭の日の出の礼拝 SAGITTARIUS17:An Easter sunrise service.
復活祭。この英文で検索すると、日本でいう「初日の出」みたいな感じでみんなで復活祭の朝の日の出を見ることもあるようです。死と再生。再生を祝う。
手塚先生は医師免許を取っている人ですが、その経験のベースに「ブラックジャック」を描いていると思います。自然の摂理で死んでいく命だとしても、それでも助ける・・・・という姿勢がブラックジャックには貫かれています。
死んでいくからこその生命の輝きに憧れ求めているのが手塚治虫先生の核にあるような気がします。手塚先生は仕事を脅威的な量こなされていました。個人の生き方を犠牲にして作品制作に命かけていたような状況だったと思います。これはある意味、集合無意識が求める作品作りに人生を捧げていたとも私は感じています。
3・二人揃った未亡人は女性らしい魂の現れか
木星:牡牛座 5度:開いた墓の前にいる未亡人 TAURUS5:A widow at an open grave.
金星:射手座 13度:明るみに出る未亡人の過去 SAGITTARIUS13:A widow’s past brought to light.
旦那さんに先に逝かれた未亡人は何を思うのでしょうか。寂しさや苦しみ・・・もしくは反対の解放という気分を味わう人もいるかもしれません。
widowという語源は別れる・・という意味らしいです。
サビアンシンボルでは両方とも「暴かれる」というようなイメージがつきまといます。牡牛座は墓なのですがこれは無くなった旦那の墓なのでしょうか?彼のまた自分の持っている資産がどれぐらいあったのか改めて見ている。。使い尽くしたのか?まだたっぷりあるのか?
過去をもっと大きく捉えると自分の記憶ということでもあります。前世の記憶・・輪廻の記憶・・・そのようなものを呼び覚ますというシンボルでもあると思います。
手塚先生は様々な感情体験をした魂を前世から背負ってきたのではないかと感じます。これはホロスコープの蟹座の強烈さもあるし、この二つのサビアンシンボルからも感じる。女性は配偶者の死を見送っています。これは避けられない「死」に対する無念さや、誰にでも必ず起こるという諦念もがあるように感じます。
4・子供らしい純粋な好奇心とその危険性
蟹座 9度:水の中の魚へと手を伸ばす小さな裸の少女 CANCER9:A tiny nude miss reaching in the water for a fish.
知らない世界に対して好奇心を持ちつつ、恐る恐る純粋につながりを求めようとする度数。知らない世界に対して実は貪欲に関わりを作るのでしょう。少女だからとても純粋。しかしこの魚に引きづり込まれると、120度の太陽のサビアンシンボルでもある「溺れてしまう状況」になってしまうのかもしれません。やらなきゃいいのに関係つくって後にひけなくなる。でもそれをあえて取り組むことが手塚先生のテーマだったのかもしれませんね。
天秤座 24度:蝶の左側にある3番目の羽 LIBRA24:A third wing on the left side of a butterfly.
天秤座はとても客観的です。今までの無意識につながる水のサインとは大違いです。24度は見えないオーラのようなエネルギーに敏感な度数。天秤座は人と人との磁石のようなくっつき合いと離れることがテーマですが、そこには物質的な確実な確証はなく、なんとなく好き、またはなんとなく嫌いだから疎遠というなんとも論理だてられない「なんとなく」がテーマでもあるのですよね。そういう見えない領域を感じていく度数でしょう。これは個人対個人よりも対集合無意識にも使えます。マーケティングなどの場面でもこれは使えますね。今時代の大勢の「なんとなく好き」は何なのか、時代の「好き」を感じとる力ではないでしょうか。
5・激しい感情から自分を救うためのクリエイティブな芸術
手塚治虫先生のドラマの世界は感情の世界が縦横無尽に張り巡らされています。喜びも、悲しみも、憎しみも、やるせなさも、虚しさも、憤りもすべてすべて・・・日常に感情が浮き上がる1瞬を漫画のたったの一コマで表現している。まるでそれは万華鏡のように1瞬はなかなく形をつくり、その次の瞬間にはまた違った様相を見せます。
太陽のサビアンシンボルでもある、溺れるぐらいの激しい感情のエネルギーは、周囲の十字架があることで制御されていたのではないかと感じます。十字架は大きな真理。宗教的な信念。人は死にゆくものだが魂は死なない。宇宙から見たら、いっときの瞬間を人は生きている・・・・というような大きな大きな客観的視点です。
そこから見ることで、心の中で吹き荒れる嵐を冷静に観察し、作品へ昇華できたのだと思います。これぐらい感情が動く人が、人を感動させる物語を紡ぎ出せるのだと思いますね。
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