サビアンシンボルのサインそれぞれの30度の流れはいろいろな考え方があると思います。
神話の構造で考える
ジョーゼフ・キャンベルの考える神話の構造だと、主人公が今までの世界から冒険をはじめ、イニシエーションの試練、そして社会に戻ってくるという構造をサビアンにあてはめると前半10度が冒険の出発、真ん中10度がイニシエーションと試練、最後の10度が社会へ戻ってくるという流れです。
16度での影の侵入
1度1度の意味もあるのですが、おおまかに考えると、前半と後半にわけて16度が影の侵入。影はオポジションのサインです。そこで最初のサイン流れが1度解体され、そこから復活する構造です。松村潔先生のサビアンシンボルの著作本に使われています。
錬金術 心理変容の流れと考える
この本に出会って、錬金術的な作業の工程をサビアンシンボルの30度と考えても良いのではないかと考えています。
心の解剖学 E.F・エディンガー
心理療法における変容のプロセス=個性化を、錬金術の作業工程と結びつけさせたのはユングです。その膨大な内容から、基本的な錬金術の作業についてまたそれに伴う心理変容の過程をまとめた本です。
この本によると心理変容に関連する錬金術の工程は以下。
2 煆焼(かしょう)3 溶解
4 凝固
5 昇華
6 殺
7 分離
8 結合
心の解剖学 E.F・エディンガー 目次ページより
この7つの工程をサビアンシンボル30度で当てはめてみました。
この流れを蟹座で考えてみましょう。
煆焼(かしょう)のグループ 1度から5度
煆焼(かしょう)とは
https://www.weblio.jp/content/煆焼
煆焼(かしょう、calcination、calcining)とは、鉱石などの固体を加熱して熱分解や相転移を起こしたり、揮発成分を除去したりする熱処理プロセスである。通常その物質の融点より低い温度で行う。
とあります。聞き慣れない言葉ですよね。鉱石から揮発成分を除去する熱処理だそうです。
火を使った作業になるのですが、これを心に関連する象徴だとすると、火は情熱、怒り、攻撃、衝動という象徴になります。
私のイメージでは、サビアンシンボルの蟹座の映画がここで上映されていて、ここに入り込んだ「魂」が蟹座らしく燃やされているという様子なのではないかと感じるのですね。ですからサビアンシンボルの最初5度というのは「そのサインらしいエネルギーを強く高めている様子」と言って良いでしょう。
またエディンガーの本では
心の解剖学 P62
煆焼はまず「原始的な影の側」や「無意識に汚染されている場所」で起こります。そこは本来自分自身のなかに存在しているにもかかわらず、みたくないので、目をそむけてしまうところ。
とあります。
蟹座1度から5度は、「共同体と一体化する・古い民族的な神話体系や記憶と一体化する」エネルギーがとても強い場所のですが、高いがゆえに悪い影響も生み出すところでもあると思われます。蟹座のサインを成長させるために裏側の意味を丁寧に辿っていくために隠れているものを熱によって炙り出させるポイントとも考えられるのではないでしょうか?
さて1度から5度の流れでは1度で共同無意識の中に入り込み、2度でその巨大さを外から眺め、3度でそちらの偉大な力に従うことに決め、4度で共同体との関わり方の学びをし、5度でその関わり方をちょっと変えてみたいと反抗する・・・・そんな流れが見えてきます。5度で煆焼がすすみ蟹座の隠れているものが炙り出されているように見えます。
溶解と凝固のグループ 蟹座6度から10度
エディイガーの著書ではこの二つは分かれていたのですが、この溶解と凝固が何度も反復するかと思い今のところはここではまとめています。もしかしたら、2番目が溶解のみで、3番目が凝固と昇華となるのかもしれません。それはサインによって違うのかもしれないのですが、蟹座の場合10度で硬い凝固している象徴、ダイヤモンドのシンボルが出ているので、溶解と凝固は蟹座6度〜10度と当てはめました。
溶解は、自我が溶けてなくなる象徴です。個別性を強く感じたいタイプにとっては恐怖を感じることかもしれません。でも逆に、大いなるものとつながり自分を解放させる(宗教体験、性体験など)ことでもありそこには喜びや大きな感動が味わえるものではあります。凝固はこの流れと反対で、はっきりした形となっていきます。この溶解と凝固の流れは牛乳を攪拌させつづけてチーズができるようなそんな流れを感じるのですよね。
サビアンで考えると、蟹座の体験を大きくさせるために、古い蟹座をがいったん大きな源(この源は何なのか考察が必要ですが)に溶解し、再び凝固していく流れが6度から10度の中に刻まれます。
6度は凝固。もっとも原始的に巣作り、蟹座の象徴をがっちりやっている。7度は「月」という蟹座の大事な惑星がでているので大きな月の世界と溶解する。8度では集団にはまるので凝固。9度は魚という無意識領域と関わろうとしているので溶解。そして10度は地上でもっとも硬いダイヤモンドなので凝固です。
昇華のグループ 蟹座11度から15度
錬金術では昇華とは「高める」という作業です。凝固した肉体を超え、霊的なエネルギー体に向かうことがテーマになってくるようです。個別の人間の事柄にフォーカスするのではなく客観性や普遍性に向かっていく流れです。
サビアンシンボルだと6度から10度まで一回溶解し凝固した固まったものから、より高いクオリティを目指していきます。俯瞰的にサインを考える度数域なのではないかと感じます。
11度しかめっつらのピエロですが、あえてマイナスな感情を扱いながらもつながりをつくるという、難易度高い課題をチャレンジしています。12度は蟹座の目の前の育てている子供から将来的な視点をもらっています。視点が広いです。13度は親指を出して意思表示するもちょっと控えめ。これは11度の流れも入っていそう。14度は集合無意識の核みたいなところに向かおうとしている。15度はそこから世俗に戻ってきて仲間との関わりを最大にいかし共感を味わう。
殺(さつ)のグループ 蟹座16度〜20度
「殺」は結果の死ではなく、死へ向かう能動的なエネルギーとして考えて「さつ」と訳されたそうです。サビアンでは意図的に何が殺されるのでしょうか?ここでは強くなった「蟹座が殺される」ということでもあるでしょう。殺されるのが蟹座、殺すのは山羊座です。
16度は山羊座のルールの象徴である正方形がでてきています。蟹座は、建前とルールの山羊座をいったん受け入れます。そこでは本音の気持ちを殺さねばなりません。17度では微生物になってもう1度命が吹き込まれ、18度で餌を与えらえます。19度、20度で死から再生となります。地域社会に戻りコミュニティを盛り上げる力を宿しています。
分離のグループ 蟹座21度〜25度
分離というのは、様々な神話で描かれる世界の最初に起こります。ギリシア神話では「混沌」から天と地に「分離」してこの世界が始まったとされています。意識の世界では「自分と感情を別にする」とか「過去間違ってうけとった思い込みと自分を分離させて考える」という意味になります。これによって秩序が生まれ、揺るがない強さになっていきます。タロットカードでいうとソード(剣)の意味になってきますね。理性や知性で割り切ることです。
サビアンシンボルで考えると、この度数の場所はそのサインの意味を相当強めていき自信を持つところです。分離と考えると、山羊座の影響を受けていた経験を糧にそこから離れて蟹座の王道を推し進めていくのでしょう。
21度 蟹座の力を見せつけてます。22度の絵はもしかしたら山羊座とお別れしている絵かもしれません。23度は蟹座の学びを深めているように思います。24度は山羊座(男性二人)の前の女性(蟹座)がそちらを向かず、そこに頼らず自力でなんとかしようとしているようにも見えます。25度は黒い外套が飛んでますが、それは分離させた山羊座の残りカスのようにも見えます。
結合のグループ サビアンシンボル蟹座26度から30度
錬金術の目標は
心の解剖学 P254
作業の目標は「哲学者の石」・・・・などと呼ばれる奇跡の実在を創造することである。それは純化された対立物が最終的に結合することで生み出されるが、対立物が結合しているので、どんな一面性も和らげ修正する。
蟹座の最後は次の獅子座を意識する度数だと思いますが、錬金術的な流れで言うと対立しているものは山羊座です。そこと結合していくことが最強の蟹座になる流れなのではないかと感じます。
26度は社会的ステイタスを手に入れ高い文化を味わえる生活を手に入れます。27度は渓谷=土=高い山=山羊座と結合するためにどんな感情の荒れも負けずに進んでいく強さがあります。28度は山羊座1度のサビアンシンボルでもあるインディアンに新しい蟹座になりましたよ!と伝えています。29度は天秤をもって山羊座成分と蟹座成分をバランスとっているようです。そして30度は蟹座万歳と勇気づけていますが、その情念は自分属している社会=山羊座という大きな社会集団がよりまとまるための力となっているのではないでしょうか。
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